「左手が無い」

 お休みなさいとベッドに横になり しばらくして・・
・「お父さん 左手が 左手が無い」と
  右手が探す。すると顔が見る見る真っ青になり、しだいに声が小さくなっていった。 
 平成五年二月六日 夜十時

出血は右脳から左脳におよび手術不可能の状態だった。今夜が山場だと先生に聞かされ一人
待合室で途方にくれる自分だった。

24時間の付き添いとなる。無意識に呼吸官、点滴官を跳ね除けてしまう。手足をベットに
括り付けられた。目が離せない介護となり、全ての仕事から手をひいた。
 思いにもよらぬ 新しい船出となった。